R平のブログ

世の中の仕組みを調べてみよう

「30分で分かる経済の仕組み」レイダリオ著 を読み解く④

引き続いて、読み解いていきたいと思います。

前回は返済額>収入となり、恐慌が発生したところで終わりました。今回は、恐慌の影響が国の財政にも影響を及ぼし始める所から始まります。

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政府は経済活性化のため支出をふやし、経済の体力を回復させようとします。

「政府は経済活性化のため支出をふやし、経済の体力を回復させようとします。」

人々の収入が減る上に失業者が増えるわけですから、税収は下がり さらに失業者対策の為に国は予算を使うことになります。失業者手当とか、土木工事とかの仕事を作って雇用を増やします。ただし、恐慌になるほどの状況ですからそれに掛かるお金(税金)も足りません。どうするか。どうやって税収を上げるか。⇒そうだ、お金持ちからいっぱい取り立てよう。 という発想になるみたいです。お金持ちにとっては恐ろしい話ですが、客観的に見つめるとこれは”富の再分配”という行動になります。

「貧しい人たちは富裕層を毛嫌いするようになります。」

この文はさっぱり意味が分かりませんね。だって、蓄えた富を税金として吸い上げられてみんなに配っているわけですから。おごってくれて有難う!という気持ちになるのが普通と思いませんか? でも、実際には違うようなのです。「貧しい人たちは不満を抱えている。そして、恐慌時は社会の多数派。⇒ 不満の矛先が政府に向けられるとまずい。⇒ そうだ、金持ちを悪者にしよう」という発想を政府はします。さらに、悪者から資産を没収して庶民に配れば景気対策が出来る上に人気も取れるぞ!という。政府にとって一石二鳥の良い策のように思えますが、これをやってしまうとお金持ちと貧困層の対立が生まれることで世の中の空気が殺伐としたものになって行くみたいです。具体的には、1930年にヒトラーが力をもったのもこの状況からだとダリオは言ってます。社会が2層にはっきりと分かれることで、貧困層には被害者意識と連帯感が生まれると想像できます。そして、そこに分かり易い言葉で目的と方向を示してくれる指導者が現れた時 被害者意識と連帯感を苗床にファシズムが育っていったのではないでしょうか。

中央銀行は、お金を印刷するより方法がなかった。利子がゼロまで下落していたから」

 負債への返済が収入を上回り、それが資産と収入の縮小の連鎖を生み出してしまいました。そしてついに恐慌となりどんどん社会がすさんできています。どうすれば良いか。そう、負債の処理と資産価値の増大です。これが実現すれば、またクレジットによるレバレッジが復活します。しかし、金利は0になっていてこれ以上下げることができない。そこで国がとる対策は、お金の発行です。発行したお金で国が資産を買って資産の価格を引き上げたり、公共事業をしたり公務員を増員したり等々して景気対策をするのです。また、お金を発行するということはインフレを促すので負債の負担を軽減する効果もあります。お金を発行することで資産の引き上げと負債の軽減を同時に行えるのです。ただ、良いことばかりではありません。副作用として国の借金が増えます。これは、お金発行の仕組みに関係しています。お金を発行する際には、政府は金額分の国債を発行しなければなりません。中央銀行は、この国債を受け取った代金としてお金を印刷して政府に渡します。国債は政府の借金としてカウントされます。回りくどいシステムと思うかもしれませんが、勝手にお札を印刷して発行出来るようにしてしまうと際限なく印刷してしまいますね。そうするとすぐに行き過ぎたインフレになってしまうでしょう。それを防ぐための方法です。総括すると、レバレッジが消失して金利を0にしても景気が好転しなくなってしまった場合には国が赤字を増大させる代わりにお金を発行して対策するということです。

 

次回、最終回です。もうちょっとですね。では。