R平のブログ

世の中の仕組みを調べてみよう

「30分で分かる経済の仕組み」レイダリオ著 を読み解く③

引き続いて、読み解いていきたいと思います。

前回は小さな景気の波が繰り返し発生しながら徐々に景気が膨らんでいくところまでのお話でした。今回は、景気の膨らみが最大になった後何が起こるかの話です。

finance.logmi.jp

「何十年もたつと債務額がだんだん大きくなり返済額が増えてきます。そして返済額が所得よりも早いスピードで増えるときが来ます。」

初手から難解ですですね。というか、出落ちです。ここさえ理解できればこのパートはすらすら読めます。ここで”増えるとき”と言っていますが、どんな時でどんなことが引き金になっているのでしょうか? これは、金利が関係していると思います。景気が際限なく膨張していくと勘違いするような流れの中で、ある時から徐々にもしくは急に金利が上がりだすとします(金利変動の仕組みは別途記事にします)。すると、負債はその時から急激に膨らみだします。負債の増加=返済金の増加、です。それに対して収入は金利分上がるというわけにはいきませんから、収入の増加ペースに対して返済の増加ペースが上がったということになります。日本のバブル崩壊も、引き締めの為に公定歩合金利)を一気に上げたことがきっかけになったとググったらそんな記事がありました。

・返済額は、金利変更によって急激に膨らむ

・しかし、収入と資産はそれに応じて急激に上がることはない。

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「不景気なら利子を下げれば借りる金額が増えます。でもレバレッジが消滅していますから利子を下げようとしてもすでに利子は低くなっています。こうなると景気回復は不可能です。」

さっぱり意味が分かりませんね。レバレッジは直訳すると”てこ”です。FXや先物取引において、借金で手持ち資金以上の金額を取引したりすることを”レバレッジを効かせる”なんて言ったりしますね。てこを用いるように手持ち資金(小さな力)で多額の取引(大きな力)をするという感覚です。今回の状況に合わせてもっと具体的に言うと、レバレッジ=借金してそれを運用することで生産性向上を達成し、より大きなリターンを得られること。となります。つまり、レバレッジが消滅しているということは、↑表青字部分のように景気が負のスパイラルに入っており、借金して運用しても生産性の向上が望めなくなってしまっている状況ということです。ほんの少しでも生産性が上がるのであれば、金利さえ低く 最悪0にすればごくわずかでも成長するのですが、そもそも成長がプラスにならないことが決まっている状況で金利を0にしたとしても効果はありません。バブル崩壊前の経済成長の周期には戻らないということです。

「支出が減り、支出は他の人には収入源ですから所得が減少します。所得は債務返済より速いスピードで縮小します」

このパートでは、バブル崩壊の中で、金利を0にしても負の連鎖が回復できなくなってしまったその先の話をしています。負の連鎖が続くと収入の減少が止まらず、ついに返済額>収入 となる時が来ます。そうなると、次に資産の急激な減少が発生すると言っています。理由は単純です。返済額が収入を上回ってしまった時点で借り手は返済不可能です。このままだと破産となり、貸し手から見るとそれは資産(返済されるお金)の消滅となります。貸し手は、資産0になってしまうくらいなら返済可能なところまで借金をまけてあげようという考えになります。ただ、これは資産(返済されるお金)の縮小を意味します。

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さあ、どんどん悪い方に悪い方にことが進むようになってきました。でも、まだまだこんなところではありません。負のスパイラルはついに、国の運営にも影響し始めるようです。次回はもっと暗い話になりそうです。では。